例えば、日本中どこにでもあるような「棚田」だけど、奥出雲も場合は、鉄づくりに必要だった「砂鉄」を採取するために、切り崩した山を豊穣の土地に生まれ変えたものだったりする。鉄を作りながらも美しい風景を未来に残すために、知恵と工夫を振り絞り、挑戦してきた、強いコミュニティーの感動物語がある。
西の横綱と言われるほど、自慢のお米「仁多米」だけど、ただの日本人好みのお米というわけではなく。その誕生には、日本人であれば誰でも、いや、地球を愛するものであれば誰でも知るべき、深いストーリーがある。
「鉄は国家なり」と言われるほど、日本の成長に必要不可欠だった「鉄」のほとんどが奥出雲地方でできたもの。そのためには、木を伐採して「木炭」をつくり、山を切り崩して「砂鉄」を採取する必要があった。凄まじい環境破壊のように見られるが、先人たちは、伐採した森林を30年間のサイクルで管理して、切り崩した山は「棚田」へと再生した。
もしも、切り崩した山をそのままにして、計画もなくどんどん山を伐採していたら、今ここに人が暮らせてないかもしれない…。
先人たちが生み出した、ユニークな生き方が1300年を経た今もなお、私たちに大切なメッセージを伝えている。それは「人と自然がうまくやっていける」ということ。映画もののけ姫の結末では明らかになっていない、答えかもしれない。
「know rice know life」とは訪れる人が、食や暮らしを通じて、奥出雲の風土に浸かり、「これからの自分の暮らし方を見つめなおすきっかけに出会う旅」。